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幼児教育における誤信と発達診断とアメリカの幼児教育

〇幼児教育における誤信と発達診断

幼児教育において、子供が様々な分野において正常に発育しているかどうか という点は非常に気になるところではないでしょうか。

例えば、アメリカでは、幼児または子供の17パーセントが自閉症や行動の障害 など精神面や肉体面での発達上の障害を抱えていると言われています。参照/ Department of Healthand Human Services/Developmental Screening

アメリカでは、それらの障害をできるだけはやくクリアするために政府提供の 検査が無償で行われており、そしてその結果をもとに小学校に上がるまでに、 言語面、運動能力面、感情面などで必要なプログラムを受けられるような環境 が用意されています。

そうした検査は様々な面で効果が高いものですが、親の立場からすれば、子供の発育 段階を客観的に知ることができるという意味で、非常に興味深いと言えます。

親の立場にしてみれば、身内にはどうしても「甘い」「厳しい」など極端な判断を しがちですから、尚更です。

例えば、自分の子供に何らかの運動能力面での発達に障害が見られた場合、「親が スポーツが得意だったからきっと心配ない」「これは何か大きな病気にかかっている のではないか…」といったような誤った判断をしてしまう可能性があるということです。

実際には、運動能力面での発達に障害が見られた場合でも適切な過程を踏めば、 短期間でクリアできることがほとんどでしょう。仮にそうでない場合でも、早 い段階で適切な対応をしていくことは、子供の発達上の問題を早く解決できる ことに繋がっていくでしょう。

こういった例に見られるようにアメリカで幼児を対象に行われている検査(発達スクリー ニング)は、親の誤信から離れ客観的なデータのもと、適切なプログラムを提供できる という意味で大変すぐれた制度であると考えられます。

こうした例からも明らかなように、幼児教育において親が自らの思い込みや誤信で 子供の発達診断を下してしまうことは注意が必要です。

できれば、信頼できる発育・発達の検査を受け、そして客観的なデータの下、できる 限り早い段階で対処していくことが重要であると判断できます。

〇アメリカの幼児教育について

世界でも最も豊かな国であり、また格差があるとも言われるアメリカでは幼児教育 についても様々な選択肢が用意されています。また、その中でアメリカがいかに幼 児教育を重要であると考えているかが分かります。

裕福な家庭やそれなりの所得がある一般家庭では、私立や公立の幼稚園やあるいは 家庭教師などを利用しているところがほとんどです。感情、認知、運動などあらゆ る分野で、バランスのいい発達を目指すべく教育が施されています。

そして、低所得者層向けには「ヘッドスタート/Head Start」と呼ばれる就学前のプ ログラムを政府が提供していまして、このプログラムはなんと1人の子供に対して7,222ドル あまりの予算をかけて、就学前の子供たち約2,200万人(2005年下半期)規模で行われ ています。

この累計6,800億ドルの予算というのは、日本の2007年度予算の一般会計の総額81兆円 とほぼ同額レベル、また、アメリカの政府主体の予算規模では宇宙開発に次ぐ規模であ ることからも、アメリカ政府がいかに「幼児教育」について重要であるかを認識してい るかということが分かります。

ヘッドスタート・プログラムは低所得者層の家庭や移民家庭の幼児の健康な発育、発達、 学習などの支援を目的として行われており、さらにそのプログラムの理論には多くの専 門家の知識が反映されており、質の高いサービスを提供していることでも知られています。

では、ヘッドスタート・プログラムを簡単に紹介したいと思います。

まず、カリキュラムはそれぞれの子供に適切なものが設計され、そして、自尊心、自信、 好奇心、および自己規律を持つことを奨励します。そして、親がこうしたプログラムを 理解し、中心的な存在になることで高い効果を実現させます。

多くの子供がこのプログラムを経て、健康に育ち、読み書きなどの実践的なスキルを習 得することが可能になっています。

ただ、ヘッドスタート・プログラムは全てが上手くいっているというわけではなく、 行動抑制ができない子供を育てたり、行動に問題がある子供を育てる可能性がある といった声もわずからながらあるようです。

ただし、そうした面を考慮したとしても低所得者層や移民の家族の多くの子供が経済的な 理由により幼児期の段階で満足な教育を得られないという不均衡をアメリカ政府が主体と なって改善しているということは、非常に価値の高いものであると言えるでしょう。

また、実際にヘッドスタート・プログラムが多くの子供の健康な発育、発達、学習に大き な功績を残して生きているのは明らかであると考えられます。

<まとめ>

アメリカが幼児教育に大きな予算をかけていることからも、その重要性はお分かり頂けた かと思います。

日本では、共働きの世帯も多いと思いますが、幼児期の子供への教育にできるだけ関わり、 そして、「好奇心」「自己規律」などを子供に主体的に学ばせることが重要であるという 考え方はは非常に参考になるのではないでしょうか。

著者:モネ美

東京を拠点にフリーで働く保育士で2児の母。ウェブメディアを中心にライターやディレクターとして働きながら、独自の視点で「教育」についての執筆活動も行っています。